Electr-O-Pura / Yo La Tengo

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リリース

1995年

トラック

  1. Decora
  2. Flying Lesson (Hot Chicken #1)
  3. The Hour Grows Late
  4. Tom Courtnenay
  5. False Ending
  6. Pablo And Andrea
  7. Paul Is Dead
  8. False Alarm
  9. The Ballad Of Red Buckets
  10. Don’t Say A Word (Hot Chicken #2)
  11. (Straight Down To The) Bitter End
  12. My Heart’s Reflection
  13. Attack On Love
  14. Blue Line Swinger

紹介 / 感想

アメリカのインディーロック・バンド、Yo La Tengoの7thアルバム。
Yo La Tengoってやたらとキャリアが長くて、このアルバムって印象としてはそこそこ初期寄りという感じなんだけど、全然7枚目とかだから凄いなぁと思う。この前作の『Painful』より前は中古ショップでもあまり見かけない、というせいの印象もあるかもしれないが。

『Electr-O-Pura』は初期のこれぞインディーだよな、というような荒削りな感じがちょっと落ち着いて来たあたりの時期で、これ以降のYo La Tengoってどんどん音楽ジャンルを”ゆるやかに”越境して名作をリリースし続けてる印象なんだけど、ここで一旦Yo La TengoのYo La Tengo流ギターロックの範疇でなんでもあり感というか、Yo La Tengoってこういうバンドなんだ、というものが一旦いい形で完成されたアルバムなんじゃないかと思う。
ノイズの流れにキャッチーな歌メロが乗っかる「Tom Courtnenay」から、鋭いシンセが大暴れするもノリ良くサイケに仕上がった「False Alarm」、一方でアコースティックな音色が美しく重なるバラード「Don’t Say A Word (Hot Chicken #2)」など、様々な方向の曲をうまい具合に聞かせてしまう。

曲単位で眺めていると随分と色とりどりな、そんなYo La Tengoというバンドなのだけれど、一貫している良さって音の良さだよなぁって思ったりする。轟音ノイズでも静かでメロウな曲でも、どっちにも響きの良さがあって、そしてその良さって不思議と音の中に温かみを感じさせるものなんだよね。ナチュラルな空気感があるっていうか。洗練されきった都会でも、ありのままの自然でもなくて、だだっ広い郊外あたりのイメージがある。
こういう音の素朴なアンサンブルの良さっていうのは、3人っていう引き算のシンプルな編成が上手く作用しているのかもしれない。


このアルバムのラストトラックの大名曲「Blue Line Swinger」もそういう音の良さが極まった曲だな、と思う。
かつてはラジオエディットとして3分で完成されたコンパクトさの追求、今はサブスクに対応して最初30秒の勝負、というような忙しないポピュラーミュージックの世界だけれども、この曲は9分超のギター・ノイズをひたすら楽しむことができて、これはこれでとても贅沢なことなんじゃないか、と感じる曲だ。都会の喧騒をちょっと離れて、こういう曲をひたすら聞いていたい時間というのが、生活の中にはあったりするんだよね。ほんとに聞いてると涙が出てきてしまう。

このブログを立ち上げる時に、いつもながら好きなロックあたりから拝借しようと思って曲を眺めていたところ、やっぱり自分の中でそういう格がある、文句なしの名曲ってこれかもなぁ、ということで「Blue Line Swinger」を拝借することにした。Greenに変えているのは、これが末茶藻中のイメージカラーなので……。






Written By

末茶藻中

アイコンに設定しているのはブルーアーカイブに登場する音楽ファン・鬼方カヨコさんであり、末茶藻中本人ではありません。