Brighten the Corners: Nicene Creedence Ed. / Pavement

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リリース

2008年(オリジナル:1997年)

トラック

[Disc1]

  1. Stereo
  2. Shady Lane / J Vs. S
  3. Transport Is Arranged
  4. Date W/Ikea
  5. Old To Begin
  6. Type Slowly
  7. Embassy Row
  8. Blue Hawaiian
  9. We Are Underused
  10. Passat Dream
  11. Starlings Of The Slipstream
  12. Fin
  13. And Then (The Hexx)
  14. Beautiful As A Butterfly
  15. Cataracts
  16. Westie Can Drum
  17. Winner Of The…
  18. Birds In The Majic Industry
  19. Harness Your Hopes
  20. Roll With The Wind

[Disc2]

  1. Slowly Typed
  2. Cherry Area
  3. Wanna Mess You Around
  4. No Tan Lines
  5. And Then (The Hexx) [Live]
  6. Harness Your Hopes [Live]
  7. The Killing Moon [Live]
  8. Winner Of The [Live]
  9. Embassy Row Psych Intro
  10. Nigel
  11. Chevy (Old To Begin)
  12. Roll With The Wind (Roxy)
  13. Oddity
  14. Type Slowly [Live]
  15. Neil Hagerty Meets Jon Spencer In A Non-Alcoholic Bar (Live Radio Session) (Recorded Live At Kcrw)
  16. Destroy Mater Dei [Live]
  17. It’s A Rainy Day Sunshine Girl [Live]
  18. Maybe Maybe [Live]
  19. Date W: Ikea [Live]
  20. Fin [Live]
  21. Grave Architecture [Live]
  22. The Classical [Live]
  23. Space Ghost Theme I
  24. Space Ghost Theme II

紹介 / 感想

アメリカのインディー・ロックバンド、Pavementの4thアルバム豪華版。
44曲2時間30分、ぐらいの大ボリュームなので結構凄い。[Disk1]の12トラック「Fin」までがオリジナル盤に収録の曲。正直、だいぶ長くて全貌はあまりちゃんと把握できていなかった……。

円熟感があるというか、コントロール下にある作品だな、と感じる。Pavementと言えばローファイなサウンドが持ち味なのだが、1stの頃にあった無秩序な混沌とした感じは(比較的)鳴りを潜めており、ローファイはローファイでもリラックスした脱力感とでも言うべき雰囲気がある。そして、なによりも抜群にポップだ。
90年代のオルタナっぽくABとサビで静動をガラリと変えるのをやってのける「Strereo」に、ぐっと耳に残るキャッチーさが良い「Date W/Ikea」(北欧家具店のIKEAのことはわからないが、IKEAに行くたびに聞きたくなる)など、人気曲も多い。「And Then (The Hexx)」以降の収録曲は1997年当時のシングルB面だとかライブトラックを集めたものらしいが、このあたりもあらためてじっくりと聞くとふっと気を抜いてほっとできるような良曲・良テイクが揃っていていい。「ちょうどいい」温度感の良さのあるアルバムだと思う。


粒ぞろいのアルバムの中でも、私がやっぱり一番好きなのは「Shady Lane」だ。シンプルなギターフレーズのコンパクトな楽曲、という感じの曲なのだが、ため息の出るような美しい歌メロには、もはや混沌とは程遠い洗練されたものを感じさせる。
何度か話しているので知ってる方もいるかもしれないが、拙ブログ「日陰の小道」はこのタイトルから拝借している。英詩バンドを聞きまくっているのに恥ずかしながら英語力が全くないので、言葉として正しいのかはわからないが。「A shady lane / everybody wants one」このフレーズがとにかく好きで、確かに人間時には日の当たらない、ふっと気を抜ける道に佇む瞬間が必要なのだ――と思ってしまう。インターネットの隙間産業をやる上で、そういうちょっと隠れた、大通りではないものに目を向けるようなブログがやりたいと思っている。(最近はもっぱらブルアカとラブライブの話をしているが……!)

活動終了後にファンになったのでライブに行ったことがずっとなく、再結成後も2010年以降来日もなく半ば諦めていたのだが、2023年にPavementの来日公演があったので東京の2日目を見に行った。思い入れの強い「Shandy Lane」はアンセムなので流石にやるだろう、と思っていたら1日目でしか披露されずに「そんな~」と残念だったが、改めてセトリを確認してみると1日目には「Date W/Ikea」がなく、なんとも悩ましい選択肢であったと言える。両日ともにがらりとセトリが変わっているのは実際アツくて、頑張って2日行けばよかったなあと正直思ってしまう。ともあれ、2日目は「We Dance」に「Fin」とかも嬉しかったなぁ。

ちなみに、Pavementは5thの『Terror Twilight』以外この豪華盤のシリーズを所持しているのだけれど、外皮のスリーブケースに穴が空いていて、このジャケットだと「PAVEMENT」の部分から下地の目が覗く、というデザインになっていて、なかなか面白い。良い遊び心だと思う。『Terror Twilight』も豪華盤が出ているらしいので、そのうち入手しておきたいところだ。






Written By

末茶藻中

アイコンに設定しているのはブルーアーカイブに登場する音楽ファン・鬼方カヨコさんであり、末茶藻中本人ではありません。